文部科学省が、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、中学校保健体育において、武道・ダンスを含めたすべての領域を必修とすることとしました。武道を必須化したのは、武技、武術などから発生した我が国固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動であること、また武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動であることが理由です。
しかし武道は他のスポーツと異なり、相手を攻撃し、それを防御するといった運動行為であるため、指導者がしっかりと指導しないと非常に危険なスポーツでもあります。自己を確立し、人を活かし、社会に貢献できる人づくりを目的とする武道が多い中、万が一の事故により大怪我をすることも多く、青少年においては心臓震盪が起こる可能性も否定できず、本来の目的とはまったく異なる結果となってはいけません。
最近ではブラジリアン柔術の乱取り稽古中に、意識を失い死亡する事故が発生しています。低酸素脳症で窒息した疑いがあるようです。
このような事故が発生したとき、救命法(CPRとAED)・救急法(応急手当)の正確な知識を持った指導者がどれだけ道場にいますか?大事な生徒や門下生の万が一のためにも、武道関係の指導者は、身につけておく技術が武道の技術だけでないことは確かです。一度メディックファーストエイドの講習もご検討ください。
(事例:2005年10月)
15歳男性、少林寺拳法の練習中、胸部へ打撃を受けた後心停止となった。Bystander CPRが実施され、救急隊による除細動により心拍再開した。後遺症なく退院し社会復帰した。
(参考)
下の動画は空手の試合中に発生した心臓震盪です。まったく予期せぬ出来事です。
(2013.11.4更新)